平成19年短答式 著作権法・不正競争防止法
出典: ゼネラルプロパテント 弁理士試験Wiki
[編集] 〔4〕産地の表示に関する次の説明のうち、最も不適切なものは、どれか。
- 世界貿易機関の加盟国は、地理的表示を保護する義務がある。
- 不正競争防止法には、虚偽の原産地の表示に対する刑罰規定がある。
- チーズの原産地名が普通名称となった場合には、その原産地名を異なる産地のチーズに使用することは、不正競争防止法における不正競争とはならない。
- 商標法には、世界貿易機関の加盟国のぶどう酒の産地を表示する標章を含む商標について、特別の規定がある。
- 原産地の不正な表示を信頼して商品を購入した消費者は、不正競争防止法に基づき、損害賠償を請求することができる。
[編集] 解説
- について。TRIPS協定第3節の通り。従って、この選択肢は適切である。
- について。不競法21条2項1号の通り。従って、この選択肢は適切である。
- について。原則として、商品等の原産地について誤認させるような使用をすると不正競争となるが(不競法2条1項13号)、ぶどう酒等以外の普通名称であれば適用除外となり不正競争とならない(同法19条1項1号)。従って、この選択肢は適切である。
- について。ぶどう酒の標章で産地以外の場所では使用できないものがある旨が規定されている(商4条1項17号)。従って、この選択肢は適切である。
- について。不正競争防止法に基づくに損害賠償を請求できるのは、営業上の利益を侵害された者に限られる(不競法4条)。よって、同業者等であれば請求することができるが、消費者は請求することができない。従って、この選択肢は最も不適切である。
解答:5
[編集] 〔7〕著作者に関し、次のうち、最も不適切なものは、どれか。
- アルバイトの学生が勤め先の企業で作成した著作物について、その企業が著作者となる場合がある。
- 会社の人事評定マニュアルのように、一般に外部への公表を予定していない著作物についても、その会社が著作者となる場合がある。
- 映画製作会社の従業者が職務として映画の著作物を作成した場合、この映画がその会社の名義で公表される限り、原則として、その映画製作会社が著作者となる。
- ゴーストライターが自己の創作に係る著作物を他人名義で出版することに同意を与えた場合、そのゴーストライターは、その著作物の著作者とはならない。
- 映画製作会社は、自ら企画して映画を製作する場合のみならず、第三者から委託を受けて映画の製作を行う場合にも、映画製作者として著作権を取得することがある。
[編集] 解説
- について。いわゆる職務著作(著15条1項)に該当する場合には、企業が著作者となる。従って、この選択肢は適切である。
- について。法人が著作者となる要件として、その法人が自己の名義の下に公表することが必要であるが(著15条1項)、これには、法人名義による公表を予定しているものや、本問のように公表を予定していなくても仮に公表すれば法人の名義で公表されるものも含まれると解される。又、公表とは相当程度公表されることをいい、法人の外部に公表していなくても公表といえると解される。従って、この選択肢は適切である。
- について。原則として、映画の著作物の著作者は、映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者であるが(著16条)、職務著作の場合等に法人が著作者となる(著16条ただし書き、29条)。従って、この選択肢は適切である。
- について。著作物に、著作者名として氏名が表示されている者は、著作者として推定されるが(著14条)、反証があれば、他の者が著作者と認められることもあるため、ゴーストライターが著作者となることもある。従って、この選択肢は最も不適切である。
- について。映画製作者が著作権を取得する場合としては、映画製作者の法人著作に該当して、映画製作者が著作者人格権と、著作権の両方を得る場合(著15条1項)のみならず、29条に該当する場合にも著作権を得る。よって、第三者から委託を受けた場合にも著作権を得る場合がある。従って、この選択肢は適切である。
解答:4
[編集] 〔15〕革製品の製造販売を行っているフランスのA社が、新しい形状のハンドバッグ「Venice」を発表し販売した。このバッグは、ユニークな形状を持つハンドバッグとして、日本でも、ファッション誌等でとり上げられ、新しいハンドバッグ「Venice」として広く知られるようになった。この状況を前提として、次のうち、最も適切なものは、どれか。
- 東京都のB社が、全く同一の形状のハンドバッグを、「Milano」という表示を付して販売しても、不正競争とはならない。
- 兵庫県のC社が、「Venice」という表示を付して婦人用ブーツを販売しても、不正競争とならない。
- 京都府のD社は、「Venice」という表示を付したハンドバッグを、A社がハンドバッグ「Venice」を販売する以前から販売していた。D社が、そのハンドバッグを従前から販売していた店舗で引き続き販売することは、不正競争とならない。
- 大阪府のE社が、形状の異なるハンドバッグを、「Venice」という表示を付して販売することは、不正競争とならない。
- 神奈川県のF社が、A社の許諾を受けてニューヨークのG社が製造して販売したハンドバッグ「Venice」を輸入することは、不正競争となる。
[編集] 解説
- について。他人の商品の形態を模倣した商品を販売する行為は不正競争に該当する(不競法2条1項3号)。従って、この選択肢は不適切である。
- について。需要者の間に広く認識されている商品等表示を付して商品を販売等して混同を生じさせる行為は不正競争に該当する(不競法2条1項1号)。従って、この選択肢は不適切である。
- について。その商品等表示が、需要者の間に広く認識される前からその商品等表示と同一若しくは類似の商品等表示を使用等する者は、不正の目的でなければ当該商品等表示を使用等することができる。従って、この選択肢は最も適切である。
- について。形状が異なっていても、需要者の間に広く認識されている商品等表示を付して商品を販売等して混同を生じさせる行為は不正競争に該当する(不競法2条1項1号)。従って、この選択肢は不適切である。
- について。いわゆる並行輸入は不正競争にならない。従って、この選択肢は不適切である。
解答:3
[編集] 〔19〕著作隣接権に関し、次のうち、最も適切なものは、どれか。
- 著作隣接権についても、著作権の場合と同様に、権利者が不明の場合に、文化庁長官の裁定により、利用の許諾を得ることができる制度がある。
- 俳優がテレビ放送用番組への出演を承諾した場合、放送局は、その俳優の許諾なしに、その実演が収録された番組のDVDを製造して販売することができる。
- 放送局がテレビ番組の中で、市販された音楽CDを音源として無断で利用した場合には、レコード製作者の放送権を侵害することになる。
- 市販された映画のDVDを購入し、その映像をインターネットを通じて公に送信する行為は、その映画に出演した俳優の公衆送信権を侵害することになる。
- 放送されたテレビ番組からアイドルが歌唱しているシーンを録画して、これをビデオテープに複製して販売すると、放送事業者の複製権を侵害することになる。
[編集] 解説
- について。著作隣接権には、利用許諾の裁定の規定が無く67条等の準用もしていない。従って、この選択肢は不適切である。
- について。放送について俳優などの実演家の許諾を得た放送事業者は、その実演を放送のために録音や録画することはできるが、その録音物等を放送以外の目的に使うことはできない(著93条)。従って、この選択肢は不適切である。
- について。放送事業者が、レコードを用いて放送を行った場合、レコード製作者は、商業用レコードの二次使用料を受ける権利が発生する(著97条)。レコード製作者に放送権はない。従って、この選択肢は不適切である。
- について。公衆送信権とは、放送、有線放送、自動公衆送信及び送信可能化を含む権利であり、著作者が有する権利である(著23条)。俳優等の実演家は、送信可能化権は有するが公衆送信権は有しない(著92条の2)。従ってこの選択肢は不適切である。
- について。放送事業者は、その放送の影像等を録画して複製する権利を専有する(著98条)。従って、この選択肢は最も適切である。
解答:5
[編集] 〔30〕著作権に関し、次のうち、最も不適切なものは、どれか。
- 図書館等は、利用者の調査研究の用に供するためのものであるときには、著作権者の許諾なく、利用者の求めに応じて複製を行うことができる。
- 大学は、公表された小説の一部を含む試験問題を入学試験において出題する場合、その小説の著作権者の許諾を得る必要はない。
- 大学の文化祭で、歌手を招いてコンサートをする場合、その歌手に出演料を払っているときでも、聴衆から料金を受けなければ、その歌手が歌う楽曲の著作権者に許諾を得る必要はない。
- 現代絵画が盗難にあった時、この盗難事件を報道するために、その絵画の画像をテレビで放送することは、その絵画の著作権の侵害とはならない。
- 特許庁の審判手続において、証拠として提出するために、必要と認められる限度で、他人の著作物を許諾なく複製することができる。
[編集] 解説
- について。利用者の調査研究の用に供するためには、公表された著作物の一部分を、一人につき一部複製することができる(著31条)。従って、この選択肢は適切である。
- について。公表された著作物については、試験等の問題として複製することが出来る(著36条)。従って、この選択肢は適切である。
- について。原則として公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ聴衆等から料金を受けない場合には、公に上演等することができるが、実演家等に報酬が支払われる場合にはこの限りでない(著38条1項)。従って、この選択肢はもっとも不適切である。
- について。時事の事件を報道する場合には、報道の目的上正当な範囲内において、著作物を利用することができる(著41条)。従って、この選択肢は適切である。
- について。著作物は、裁判手続や立法又は行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合には、その必要と認められる限度において、複製することができる(著42条)。従って、この選択肢は適切である。
解答:3
[編集] 〔32〕医師甲は、A病院に勤務する放射線科医である。不正競争防止法上の不正競争に関し、次のうち、最も適切なものは、どれか。
- 医師甲は、A病院に研修を受けにきているB病院の医師乙に対して、A病院が常勤の放射線科医にのみ許可している高度なX線撮影方法を説明した。甲の行為は、不正競争となる。
- 医師甲は、A病院内で薬剤取り違え事故が発生したことを、A病院が厳に秘密に管理していたにもかかわらず、A病院の管理者である院長の許可なしに、病院内の事故防止に関する雑誌論文の中で紹介した。甲の行為は、不正競争となる。
- 医師甲は、その配偶者である医師丙の要請に応じ、A病院の患者の名簿を複写して病院外に持ち出し、これを、丙が、その経営するC診療所を宣伝するダイレクトメールの発送に利用した。丙の行為は、不正競争となる。
- 医師甲は、ある治療方法を開発した。甲は、このような治療方法は速やかに公開してあらゆる医師が利用できるようにすべきだと考えて、A病院の管理者である院長の許可なしに学会で発表した。甲の行為は、不正競争となる。
- 医師甲は、A病院に出入りの医療機器販売会社の営業員から、「ここだけの話で、会社からは言ってはいけないと命じられているのだが、来年には今販売しているものよりずっと性能の良いX線撮影装置が出ますよ。」と聞いた。甲は、さっそく、X線撮影装置を購入しようとしているA病院の院長に、「購入は来年まで待った方がよい。」と勧めた。甲の行為は、不正競争となる。
[編集] 解説
- について。「A病院が常勤の放射線科医にのみ許可している高度なX線撮影方法」は、秘密として管理されているとはいえないため営業秘密に該当しない(不競法2条6項)。よって、研修を受けに来ている者に対して説明する行為は不正競争に該当しない(不競法2条1項各号)。従って、この選択肢は不適切である。
- について。「A病院内で薬剤取り違え事故が発生したこと」は、事業活動に有用な技術上又は営業上の情報ではないため、営業秘密に該当しない(不競法2条6項)。よって、病院内の事故防止に関する雑誌論文の中で紹介する行為は不正競争に該当しない(不競法2条1項各号)。従って、この選択肢は不適切である。
- について。「A病院の患者の名簿」は営業秘密に該当する。よって、これを甲が丙に開示する行為、丙が取得する行為、及び丙が使用する行為は不正競争に該当する(不競法2条1項7,8号)。従って、この選択肢はもっとも適切である。
- について。「医師甲が開発した治療方法」は、秘密として管理されているとはいえないため営業秘密に該当しない(不競法2条6項)。よって、A病院の管理者である院長の許可なしに学会で発表する行為は不正競争に該当しない(不競法2条1項各号)。従って、この選択肢は不適切である。
- について。医師甲がA病院に出入りの医療機器販売会社の営業員から聞いた情報は、秘密として管理されているとはいえないため営業秘密に該当しない(不競法2条6項)。よって、A病院の院長に伝える行為は不正競争に該当しない(不競法2条1項各号)。従って、この選択肢は不適切である。
解答:3
[編集] 〔41〕美術又は建築の著作物に関し、次のうち、最も適切なものは、どれか。
- 未公表の美術の著作物の原作品をその著作者が譲渡した場合でも、著作者の同意を得ない限り、原作品の譲受人がその原作品を公に展示する行為は、公表権の侵害となる。
- 美術の著作物を複製したポスターを駅の待合室に掲示する際には、展示権を有する著作権者の許諾を得る必要がある。
- 美術の著作物の原作品の所有者は、著作権の存続期間満了後は、その著作物の複製に係る権利を専有する。
- 建築の著作物の所有者が、その建築を改築することは、同一性保持権の侵害とならない。
- 建築の著作物を背景とした写真を掲載したファッション誌を販売する行為は、その建築の著作物の著作権の侵害となる。
[編集] 解説
- について。未公表の美術の著作物の原作品を譲渡した場合は、原作品を公衆に展示することに同意したものと推定されるので(著18条2項2号)、譲受人は原作品を公に展示することができる。従って、この選択肢は不適切である。
- について。美術の著作物を複製してポスターを作製する際には、複製権(著21条)を有する著作権者の許諾を得る必要があるが、展示権は、美術の著作物を原作品により公に展示する権利であり(著25条)、美術の著作物を複製したポスターに対しては展示権は働かない。従って、この選択肢は不適切である。
- について。著作権の存続期間満了後は、著作権は消滅するので(著51条)、著作物の複製に係る権利も消滅する。従って、この選択肢は不適切である。
- について。建築物の改築は、同一性保持権の侵害とならない(著20条2項2号)。従って、この選択肢は適切である。
- について。建築の著作物とは、建築物そのものをいい、写真を雑誌に掲載しても建築の著作物の著作権侵害とはならない(著2条1項15号ロ等)。従って、この選択肢は不適切である。
解答:4
[編集] 〔45〕著作物に関し、次のうち、最も適切なものは、どれか。
- プログラムが著作物として保護されるためには、新規性及び進歩性が必要である。
- 現代の書家が、平安時代の高僧の書を忠実に写した書は、著作物として保護される。
- 複写機の取扱説明書は、著作物として保護されない。
- バレエの振付けは、著作物として保護される。
- 既存の楽曲をその著作権者に無断で編曲した場合、その編曲された楽曲は、二次的著作物として保護されない。
[編集] 解説
- について。著作物とは思想又は感情を創作的に表現したものであればよく(著2条1項1号)、特許のように新規性や進歩性は必要とされない。従って、この選択肢は不適切である。
- について。高僧の書を忠実に写した書は、思想または感情を創作的に表現したものとはいえず、著作物として保護されない。従って、この選択肢は不適切である。
- について。取扱説明書は、著作者の精神的活動を創作的に表現したものといえるので、著作物として保護される。従って、この選択肢は不適切である。
- について。バレエの踊りそのものは、実演に該当するが、バレエの振り付けは舞踏又は無言劇の著作物に該当する(著10条1項3号)。従って、この選択肢は最も適切である。
- について。二次的著作物として保護を受けるためには、現著作物の著作者の許諾は必要ない。従って、この選択肢は不適切である。
解答:4
[編集] 〔50〕学校法人である甲大学は、戯画化された天狗(てんぐ)の顔をマスコットとして、学生募集のためのパンフレット、大学附属病院の案内などに利用し、また、甲大学の審査に合格したものに限り、この天狗の顔を表示することを認めている。甲大学は、この天狗の顔を長年利用しており、甲大学といえば天狗、天狗といえば甲大学、と言われるようになっている。この状況を前提として、不正競争防止法上の不正競争に関し、次のうち、最も適切なものは、どれか。
- 乙予備校が、「当予備校の講師陣は甲大学の学生を多数そろえており、甲大学の入試対策には圧倒的に強い。」とする広告において、甲大学のマスコットである天狗の顔を表示した。甲大学は、教育を営利目的で行っているわけではないから、乙予備校に対して、この天狗の顔の使用について、差止請求をすることはできない。
- 甲大学医学部出身の医師たちが、同窓会の案内はがきに、甲大学のマスコットである天狗の顔を掲載した。甲大学は、このはがきの発送について差止請求をすることができる。
- 丙社は、甲大学の審査に不合格となったにもかかわらず、甲大学のマスコットである天狗の顔を自社の製品のパッケージに表示して販売した。甲大学は、パッケージにおける天狗の顔の表示の抹消だけでなく、製品の廃棄も請求することができる。
- 丁社は、自社の製品のパッケージに甲大学のマスコットである天狗の顔を表示して販売した。甲大学が、仮に丁社が正当に甲大学から許諾を受けて天狗の顔を表示したとすれば甲大学の規定に従って支払っていたはずの対価に相当する金額を、丁社に対して損害賠償として支払うことを求めた場合、丁社は、甲大学の現実の損害はもっと少なかったという反論ができる。
- 前記選択肢4の場合において、甲大学は、甲大学の損害が通常の対価の額よりもさらに大きかったという主張ができる。
[編集] 解説
- について。題意より、甲大学の天狗の顔のマスコットは、需要者の間に広く認識されていると言えるので、乙予備校が当該マスコットを使用することにより、甲大学と乙予備校は何らかの関係があるというような混同を、需要者に与えた場合には、乙予備校の行為は不正競争に該当する(不競法2条1項1号)。また、当該天狗のマスコットが著名である場合には、混同を生じていないとしても不正競争に該当する(同法2条1項2号)。また、差止請求をすることができるのは、営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれのある者であるが(同法3条)、ここでいう営業には、営利を直接の目的として行われる事業に限らず、非営利事業についても、経済収支上計算の上に立って行われているものは「営業」に該当すると解される。よって、甲大学は乙予備校に対して差止請求をすることができる。従って、この選択肢は不適切である。
- について。同窓会の案内はがきに、当該マスコットを掲載したとしても甲大学の営業上の利益を侵害するとは考えにくいので、甲大学は差止請求をすることはできないと考えられる。従って、この選択肢は不適切である。
- について。甲大学は、乙予備校に対する差止請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄を請求することができるが(同法3条2項)、侵害の行為を組成した物とは、パッケージにおける天狗の顔の表示のことであり、当該天狗の表示がない製品の廃棄を請求することはできない。従って、この選択肢は誤っている。
- について。損害賠償請求訴訟において、当該マスコットの使用料相当額を甲大学が受けた損害の額と推定して、その損害を請求することができるが(同法5条3項)、損害賠償請求をされた者が、現実の損害額は使用料相当額以下であるという請求をすることはできない。従って、この選択肢は誤っている。
- について。使用料相当額の損害賠償を請求する場合には、その額を超える損害の賠償を請求することができる(同法5条4項)。従って、この選択肢は最も適切である。
解答:5
[編集] 〔56〕不正競争防止法第2条第1項第1号に関連する最高裁判所の裁判例について、次のうち、誤っているものは、どれか。
- 「混同を生じさせる行為」は、広義の混同惹起行為をも包含する。
- 他人には、特定の表示に関する商品化契約によって結束した同表示の使用許諾者、使用権者及び再使用権者のグループのように、同表示の持つ出所識別機能、品質保証機能及び顧客吸引力を保護発展させるという共通の目的のもとに結束しているものと評価することのできるようなグループも含まれる。
- 甲の商品表示は、損害賠償の請求については乙が損害賠償請求の対象とされている類似の商品表示の使用等をした時点において、周知性を備えていることを要し、かつ、これをもって足りる。
- 広く認識された他人の営業であることを示す表示は、営業主体がこれを使用ないし宣伝した結果、その営業主体の営業であることを示す表示として広く認識されるに至った表示でなければならず、第三者により特定の営業主体の営業であることを示す表示として用いられ、その表示として広く認識されるに至ったものは含まれない。
- 商品の混同の事実が認められる場合には特段の事情がない限り営業上の利益を害されるおそれがある。
[編集] 解説
- について。「混同を生じさせる行為」とは、他人の周知の営業表示と同一又は類似のものを使用する者が、自己と他人とを同一営業主体として誤信させる行為のみならず、両者間にいわゆる親会社、子会社の関係や系列関係などの緊密な営業上の関係又は同一の表示の商品化事業を営むグループに属する関係が存すると誤信させる行為、つまり広義の混同惹起行為をも包含する。従って、この選択肢は正しい。(最高裁判決平成10年9月10日(いわゆる、スナックシャネル事件)参照。)
- について。不競法2条1項1号(周知表示混同惹起行為)によって保護される主体は広範に解釈される。従って、この選択肢は正しい。(最高裁判決昭和59年5月29日(いわゆる、NFLヘルメットマーク事件)参照)
- について。差止請求については現在(口頭弁論終結時)、損害賠償請求については、乙が損害賠償請求の対象とされている類似の商品表示の使用等をした各時点において、周知性を備えていることを要し、かつこれをもって足りる。従って、この選択肢は正しい。(最高裁判決昭和63年7月19日(いわゆる、アースベルト事件)参照)
- について。広く認識された他人の営業であることを示す表示には、営業主体がこれを使用ないし宣伝した結果、当該営業主体の営業であることを示す表示として広く認識されるに至った表示だけでなく、第三者により特定の営業主体の営業であることを示す表示として用いられ、右表示として広く認識されるに至ったものも含まれるものと解するのが相当である。従って、この選択肢は誤っている。(最高裁判決平成5年12月16日参照)
- について。最高裁判決昭和56年10月13日の通り。従って、この選択肢は正しい。
解答:4
